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[rscインタビュー]2018.2.24

岩佐亮佑の武器は右の手

セレス小林会長を直撃!
 3月1日(木)に初防衛戦に臨むIBF世界スーパーバンタム級チャンピオン岩佐亮佑(セレス)。イーグルアイの愛称で親しまれているチャンピオンを育ててきたセレススポーツジムの小林昭司会長に話を聞いた。rscproductsプレゼンツ独占インタビューをお楽しみ下さい。
世界チャンピオン岩佐亮佑誕生
■世界チャンピオンをジムから出せたと実感したのはいつ頃ですか。
小林会長  ジムから世界チャンピオンを出せたなというより、岩佐に対して、ホッとしたというか、岩佐は世界チャンピオンになれると思っていたので、やっとチャンピオンにすることができたという気持ちが大きいですね。

■他のジム生やプロ選手に対して改めて責任感は生まれましたか。
小林会長  会長ですので、責任は元々もっていることなので、新たにとは思っていないですね。ですが、1から教えた岩佐がチャンピオンになってくれたことで、いままでの指導方法に間違いがなかったんだなと自信になりましたね。
世界チャンピオンはなるより育てる方が難しい
■小林会長も世界チャンピオンになられていますが、ご自身がチャンピオンになるのと、チャンピオンを育てるのではどちらが難しいと思われますか。
小林会長  うーん、教える方が難しいかな。自分のときは一生懸命やるしかない、やるだけとしか思ってなかったので。教える立場になると一喜一憂ですね。例えばスパーリングを見ていても今日はいいな、ダメだなと。試合にしても勝てるなと思えたり、不安になったりと選手のときには感じなかった葛藤がありますね。このパンチは有効だな、とかの考え方も現役時代は自分のスタイルを貫くとしか思っていなかったので、あまり考えていなかったけど、今は相手選手の映像を見て対策を考えたりと感覚がちがうので、そこが難しいですね。

■試合の作戦は会長が立てられるのですか。
小林会長  まずは僕がビジョンを出して、選手に伝えます。そこから選手と意見交換をしますね。選手がこれは有効、いいと感じたらそのパンチを磨いていくという感じです。それが試合で活きてくると選手との信頼関係もできてきます。僕の考えを押し付けるのではなく、選手の意見も聞きながら練っていきます。ときには選手がやりにくいと言ってくることもあります。そのときはそのパンチを打つ時の動作を変えてやらせてみて、それでもダメなときは、やめて違うパンチに切り替えることもありますね。

■初めて岩佐選手に会った時、はじめて岩佐選手のボクシングを見たときの感想はどうでしたか。
小林会長  初めてジムに来たのが小学生のときで、いい動きするな、いいもの持ってるなと思いましたね。岩佐が中学3年になった時に、他の中学生にはやらせないのですが、初めてスパーリングをやらせたんですね。スパーを見たときに、これはそうとういいなと。間違いなく日本、東洋は取るなと思いましたね。
初防衛戦に向けてラストスパート!
■岩佐選手に対してボクシングをどう指導してこられましたか。
小林会長 岩佐は抜群に目がいいので、避けるだけで満足して終わってしまうことが多かったんです。攻めることを覚えさせるために習志野高校ボクシング部の当時の監督だった坂巻義男先生にお願いして、高校に進学させてアマチュア経験をさせることで、手数を出すことを覚えさせました。高校時代は学校での練習後にジムに来て練習するという毎日をおくってましたね。高校時代は坂巻先生に任せていましたが、ジムに来たらジャブ、ワンツーを徹底的にやりましたね。それは今も変わりません。今も基本のジャブ、ワンツーですね。その中でも特に重視してやらせているのは前の手の右、あとは足ですね。

■小林会長が思う岩佐選手の最大の武器はなんですか。
小林会長 右のリードですかね。岩佐は左が際立って見えますが、その左を当てるには右のリードがあるからだと思うんで。先ほども言いましたが、僕は前の手が大事だと考えているので、ミットでもほとんど右だけで2ラウンド打たせることもあります。岩佐のリードはどんな選手にも当たると自信を持っています。試合でも右が出ていると岩佐のリズムで動けていて、調子がいいなと感じますね。
自分のリズムで戦え!
■試合中のインターバルで岩佐選手に伝えることが多いのはなんですか。
小林会長 岩佐は相手に合わせてしまう悪い癖があるので、自分のリズムでいいよと言うことが多いですかね。右が出ていないと右もっと使っていいよと言うと本人も気づいてリズムを取り戻すこともありますし。

■世界チャンピオンになるために必要と思われることはなんですか。
小林会長  才能だよ。あとは諦めないで続けること。どんなスポーツでも才能がないと。努力するば報われると言われるけど、才能がある上に努力、努力しないと上には立てないですよ。それと、才能のある子は沢山いるけど辞めてしまうんですよね。諦めないで続けることで開花することもあるし、諦めて辞めちゃったら終わりだからね。その先はなにもないもんね。才能がある上でボクシングを続ける精神力と努力できることが大事かな。でも会長の立場からこの選手は危ないよと思った選手に対しては、ハッキリと辞めなさいと言います。続けるのは正常な動きができる選手に対して言えることであって、ちょっとでもウン?と思ったら辞めるべきだと思う。特にボクシングは命に関わるスポーツだから。命あってのボクシングですから。

■最後に、岩佐選手の次のチャンピオンはでてきそうですか。
小林会長 みんなチャンピオンになれると思ってますよ。ランカーで言えばツカダ絆人もあと少し変われば十分日本チャンピオンは狙えると思うし、越川孝紀も狙えると思う。アマチュアもいい選手がいますね。岩佐が現役のうちに作りたいですね。それが仕事だと思うし、使命ですから。
3月1日(木)両国国技館で初防衛戦
『rscproductsの目』
ボクシングが好きで、選手が好きで、選手のことだけを考え、厳しさだけじゃなく、優しさもしっかり持って選手と向き合っておられるのだと感じました。

小林会長、ありがとうございました。