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[年末特集]2017.12.31

2017年のボクシングを回顧・後編

驚異の11秒KOと続出した大番狂わせ

 WBO(世界ボクシング機構)スーパーフェザー級王者ワシル・ロマチェンコ(29=ウクライナ/米)やヘビー級のWBA(世界ボクシング協会)スーパー、IBF(国際ボクシング連盟)王者アンソニー・ジョシュア(28=英)、スーパーライト級の前4団体王者テレンス・クロフォード(30=米)らの活躍に加え、ゲンナディ・ゴロフキン(35=カザフスタン/米)対サウル・カネロ・アルバレス(27=メキシコ)の注目ファイトが実現し、さらに世界戦史上最短KOなどの記録が生まれた2017年。そんな実り多い年も残りわずかとなった。この機会に1年を振り返ってみよう。

ゾラニ・テテ

 記録関連では、11月にIBFバンタム級王者ゾラニ・テテ(南ア)が英国で行ったシボニソ・ゴニャ(南ア)との防衛戦で記録した「11秒KO」が目を引く。41対1というオッズでが出ていたように、もともとミスマッチとみられたカードではあるが、それにしても11秒で決着がつくとは誰も思わなかっただろう。サウスポーのテテが放った最初のパンチ、右フックで意識を失うまでゴニャが立っていた時間はわずか6秒ほどだった。

テレンス・クロフォード

 クロフォードの主要4団体王座統一も価値ある記録といえよう。そもそもベルトが4本もあること自体が矛盾した状態ではあるものの、4団体時代に入ってから29年、自力で4本を収集した選手はホプキンスただひとりだったわけで、そういった意味ではやはり価値のあることといえるだろう。
 このほか前出のガルシアの3階級制覇やゴロフキンの19連続防衛、ジョシュアの20連続KO勝ちなども目を引く。いずれもトップの記録ではないが、今後、どこまで数字を伸ばすか注目したい。

シーサケットとロマゴン
 番狂わせも多かった。最たるものは3月のゴンサレス対シーサケットのWBCスーパーフライ級タイトルマッチと、7月のマニー・パッキャオ(比)のWBOウェルター級タイトルマッチだ。前者は12対1、後者は6対1というオッズで王者の防衛が確実視されていたが、いずれも挑戦者が僅少差の判定勝ちで王座を奪った。シーサケット対ゴンサレスに関しては半年後に再戦が行われ、このときも3対1でゴンサレス有利と出ていた。シーサケットが痛烈な4回KOで返り討ちにしたのは周知のとおりだ。12月に入って、さらにふたつの大番狂わせが起こった。まず2日、引退宣言してリングに上がったWBOスーパーウェルター級王者ミゲール・コット(プエルトリコ)を、サダム・アリ(米)が破ったのだ。その1週間後、英国では伏兵キャレブ・トルーアックス(米)がジェームス・デゲール(英)に判定勝ち、IBFスーパーミドル級王座を奪い取った。コット戦は10対1、デゲール戦に至っては41対1というオッズだった。
ティモシー・ブラッドリー

 上記のコットのほかスーパーミドル級とライトヘビー級の元王者アンドレ・ウォード(米)、元世界3階級制覇王者シェーン・モズリー(米)、パッキャオと3戦したティモシー・ブラッドリー(米)、元世界4階級制覇王者ロバート・ゲレロ(米)らがグローブを壁に吊るした。20年近くにわたってリングを賑わしてきた元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(米)も8月のコナー・マクレガー(アイルランド)戦後に「これで本当に引退する」と宣言したが、過去に何度も戦線復帰しており、その言葉を額面どおり受け取るわけにはいくまい。

ファツリディン・ガイブナザロフ
 今年は16年リオデジャネイロ五輪の翌年ということもあり、ライトウェルター級金のファツリディン・ガイブナザロフ(ウズベキスタン)やスーパーヘビー級金メダリストのトニー・ヨカ(仏)、バンタム級銀メダリスト、シャクール・スティーブンソン(米)らがプロに転向し、順調に勝利を重ねた。来年は世界挑戦圏内に複数のオリンピアンが名前を連ねそうだ。