[試合後会見]2017.9.29
天笠尚 フェザー級3冠目の挑戦は!?
プミクピックが序盤から猛攻
世界挑戦の経験を持つ元日本、東洋太平洋フェザー級王者の天笠尚(31=FLARE山上)が29日、後楽園ホール開催の「A-sign.Bee.Vol7」で3度の来日経験がある元WBCインターナショナル・スーパーバンタム級王者のリチャード・プミクピック(27=比)と空位のWBOアジアパシフィック・フェザー級王座を争った。試合は179㎝と長身の天笠に対し、163㎝と小柄なプミクピックが開始と同時に低く鋭く踏み込み、左右を振り回して先制した。
突破口を見いだせないまま終了
いつもの立ち上がりの遅さを突かれた天笠は左を突いて回避したいが、スピード差から左フックの被弾が目立つ。調子が上がらないままラウンドが進み、5回にようやくジャブから距離を詰めての左ボディ、右クロスで攻勢に転じた。8回には左ボデイの好打から一方的に連打で追い込むと、9回も距離を活かしポイントを奪ったが、10回はスタミナを回復させたプミクピックに攻め手を欠き、突破口を見つけられないまま終了のゴングを聞いた。
採点は2、3、6ポイント差でプミクピックに軍配。両手を挙げて喜ぶフィリピンファイターの横で、天笠はうなだれたまま立ち上がることができなかった。
採点は2、3、6ポイント差でプミクピックに軍配。両手を挙げて喜ぶフィリピンファイターの横で、天笠はうなだれたまま立ち上がることができなかった。
最大6ポイント差で天笠が敗退
日本での初勝利を挙げ、世界ランク入りが確実となるWBOアジアパシフィック王座を獲得したプミクピック。控室に戻っても上機嫌に「ベリーハッピー」と満面の笑みを見せたが、「アマガサは背が高く、パワーもあって強かった」と称えることも忘れなかった。勝因についてはジャブを外して左フックで飛び込む、天笠用の戦法が最後まで功を奏したとし、今後はフィリピンと日本で試合をしていきたいと鼻息を荒くした。
敵地での戴冠を喜ぶプミクピック
一方、天笠は相手のパンチで右肩を痛め、顔にも被弾の後が生々しく残っていた。プミクピックの予想以上の攻撃力に「序盤からペースが取れず、打開する技術も気持ちもなかった。試合中、相手に対して怖いとも感じてしまった。それでは勝てない」と振り返り、「せっかくチャンスをもらったのに結果が出せず申し訳ない」とジムに謝罪した。次いで「もう一度、世界のリングに立ちたかったが、これが今の僕の実力。この試合が最後になる」と引退を表明。13年の現役生活を思い出しながら、悔しさと晴れやかさが混じった顔で「やりきった感はある。最高のボクサー人生でした」と精一杯に胸を張った。
天笠は試合後に引退を表明した
キューバボクシング史上最高傑作と言われるギジェルモ・リゴンドーから2度ダウンを奪って、世界中のボクシングファンのド肝を抜いた天笠尚が引退。
リゴンドーから2度ダウンを奪った男。