[会見]2017.8.17
井上尚弥が世代交代を意識
米国デビューに不安はない。ワクワクだけ
9月9日(日本時間10日)にアメリカ・カリフォルニア州カーソン スタブハブ・センターでWBO世界スーパーフライ級王座の6度目の防衛戦に臨む井上尚弥(24=大橋)が17日、所属ジムで会見を開いた。同級7位アントニオ・ニエベス(30=米)を迎えての米国デビューに向け、13戦全勝(11KO)のモンスター井上は「試合への不安はない。ワクワクだけ」と自信たっぷり。続けて「本場のお客さんの前でインパクトを残したい」と抱負を語った。
自分は速く倒すタイプじゃない
井上に挑む20戦17勝(9KO)1敗2分のニエベスは、今回が世界初挑戦ながらダウン経験のない技巧派ボクサー。距離が長く攻め難い相手に井上は、「速い回でのKOは頭にない。まずはしっかりと距離を把握してから」とし、今回のテーマとして「いつも以上に角度を変えたジャブ」を上げ、様々な攻め方をイメージしていた。
スパーリングは来週まで
今回はパートナーとして、9月22日に米国アリゾナ州ツーソンでWBO世界フェザー級王座に挑むゼネシス・カシミ・セルバニア(26=カシミ)、WBOアジアパシフィック・バンタム級7位のジェーソン・カノイ(27)といった階級上の実力者を含む5人のフィリピン人選手が協力し、強化合宿に続く実戦練習も充実。会見後の練習ではスパーリングこそ行われなかったが、父・真吾氏とのミット打ちでは、キレのある右ストレートや強烈な左ボディ、フックが唸りを上げ、井上は順調な調整ぶりをアピールした。
体重は日本で作っていく
今後、本格的な減量に入る井上が唯一不安視するのは、湿度の高い日本とは異なる現地の乾燥した気候。それでも汗が出にくいことを考慮し、来月3日の出発までに体重を残り1㎏ちょっとまで落とすというのだから抜かりはない。
ド迫力パンチで本場のド肝を抜く
記者からの質問は15日にWBC世界バンタム級王座から陥落した山中慎介(34=帝拳)にまでおよび、井上は「周囲がどうこうと言えるものじゃない」と前置きしつつ、「ストップは妥当だと思う」と自身の見解を語った。また、先月までに元世界王者の内山高志(37=ワタナベ)、三浦隆司(34=帝拳)が相次いで引退を表明し、世代交代の感がある日本ボクシング界ついても、「自分の立ち位置が変わっていることは感じる。(自分が)ボクシング界を引っ張っていき、盛り上げないと。そういった気持ちは持っている。その意味でもアメリカのリングに立つということは、日本にとっても重要な一戦だと理解している」と頼もしい言葉。新たなエースとしての自覚はしっかりと認識しているようだ。
頼もしく成長した日本の新エース
9月9日は"怪物"井上のほか、4階級制覇王者のローマン・ゴンサレス(30=帝拳/ニカラグア)、元WBC王者カルロス・クアドラス(28=メキシコ/帝拳)が競演するスーパーフライ級トリプルマッチ。日本のエースとして、その実力を本場のファンの目に焼き付けてもらいたい。