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[ニュース]2017.2.13

アムナットは選手生活を引退

一番奥に来日中のアムナット
 昨日12日、大田区総合体育館で肘打ちありのキックボクシング戦に臨み、那須川天心(18)の左ボディブローで4回2分39秒KO負けを喫したアムナット・ルエンロン(37=北京五輪・リオ五輪タイ代表、元IBF世界フライ級王者)は、試合後、都内で取材に応じ、「もう選手としては格闘技には携わらない。戦うのはこれで終わり」と引退表明を口にした。
どんなルールも器用にこなすアムナット
 アムナットは若年期に服役生活を繰り返す前、ムエタイ王者になった実績があり、2007年にはボクシングで世界選手権3位、その後も五輪ボクシング、プロボクシングの世界トップクラスで活躍をしてきた格闘技エリートだった。今回のキック・ルールにも“よそ行き”のような不慣れな感は特になく、構えから重心の高いムエタイスタイル。初回には観客のみならず、相手陣営もゾッとするような肘打ちを合わせにかかるなど、「本気で臨むのか」という心配を大きく覆す善戦をしてみせた。
「引退後のためにこれ以上戦えなかった」
 結果的には4回、那須川に「パンチで倒す」を有言実行させてしまったが、3回はアムナットが優勢に思えたほど。試合後の那須川は「さすがボクシングの世界王者だけあってジャブが当たらなかったので、その次の攻撃につなげられなかった」と語った。

 試合決着後にアムナットは那須川と特にコンタクトを取らずに引き返し、都内のタイ料理屋に移動。そこでインタビューを頼むと、ふてくされた様子はなく、質問に丁寧に答えてくれた。
前科は多いが心温かいアムナット
 去年のプロボクシング戦でジョンリル・カシメロ(フィリピン)に倒された時に右脇腹を傷めたというアムナット。
「完治しないままリオ五輪にも出場して、年末にタイ・ファイトにも出たから、いまだに痛むんだ。そこにパンチを受けた時にこれ以上は悪化させたくないから、立ち上がるのをやめた。選手生活はこれで引退。今後はムエタイのジムをタイの地方都市で開くつもり」

 余談までに東京五輪が開催される2020年にアムナットは40歳。出場する可能性はないのか聞くと「まあ縁があったらね」と握り拳をつくった。リオ五輪には予選、本戦とも1勝ごとに100万バーツの報酬を約束されていた。
「日本が大好き。応援アリガトウ」