[試合後会見]2016.11.14
強打者王者が因縁の相手と初防衛戦
有川の強打が襲いかかる
14日(月)の後楽園ホールで開催された「アンタッチャブルファイト24」のメインイベントは日本ウェルター級タイトルマッチ、王者の有川稔男(31=川島)同級5位の大川泰弘(32=ワタナベ)を迎えて初防衛戦に臨んだ。約3年3ヶ月ぶりの対戦(前回は大川の判定勝ち)は序盤から大きく動いた。
有川が雪辱した
初回、有川は重厚なプレスをかけてワンツーで攻め立てると左フックで大きくバランスを崩した。好スタートを切った有川はリズムに乗って攻撃を仕掛けたが、大川の起死回生の右フックが炸裂してダウンを奪った。驚いた表情を見せた有川だったが、攻撃を手を緩めることなく力強い右ショートを軸に多彩なコンビネーションでダメージを与えると左右の目の上を切り裂いた。4回、有川は滅多打ちにするとレフェリーが大川を抱きかかえ試合をストップ。リベンジに成功した有川は勝利の雄たけびを上げた。
拳が痛くなかったのがうれしい
初防衛をはたした有川は「大川さんに借りを返すつもりだったので防衛するという感じではなかった。この3年でどれだけ成長したか試される意味ではプレッシャーはあった」と安堵の表情。「今回はジャブが当たって真正面に立ってくれたのでやりやすかった」と試合を振り返ったが「ジャブの後に右がくるのはわかっていたのにテンプルにもらってしまった。腰を落としたので効いてはいたが手は突いていない気がした。でも逆に休めて良かった」と苦笑いを浮かべた。「今日みたいなやり方だと坂本さんはパンチがあるので前みたいに倒されるので気を付けたい」と来年のチャンピオンカーニバルで対戦する予定で、かつて初回KO負けを喫している同級1位の坂本大輔(32=角海老宝石)を警戒した。さらに試合前に挑戦状を持ってきたデビュー14戦全勝全KOの「九州のタイソン」こと同級8位の別府優樹(25=久留米櫛間)との対戦はとの問いに「ちょうど良い時期に僕がチャンピオンになったのでずっとやってみたいと思っている。次の試合をクリアできたら」と目を輝かせた。
負けた相手に一人ずつリベンジしていきたい
有川の快勝をそばで見守った川島郭志会長は「この階級だからパンチをもらったら誰でも倒れてしまうのだからもっとディフェンスを意識してほしい 」とまずは苦言を呈したが「今回はアマチュアの選手とスパーリングを重ねて強くなった」と愛弟子の成長に納得の表情を見せた。別府が対戦表明を示したことに関しては「挑戦状が来ているがルール通り次はチャンピオンカーニバルになる。一度負けている相手なので研究して戦いたい。それからになる。こっちは逃げも隠れもしない」と明言した。
最後まで勇敢に戦った
両まぶたの治療を終え控室に戻った大川は、「(2回に)ダウンを奪ったパンチは自然に出たもの。もっと足を使いたかったがパンチを効かされ、その上出血でほとんど見えない状態だった。最後はレフェリーに止められるのは分かっていたので最後は思い切って前に出たがダメでした。向こうは3年前よりずっと強くなっていた。完敗です」と試合を振り返り王者を称えた。これを最後の挑戦と渡辺均会長と約束していた大川は、「勝ったり負けたりのボクサー人生でしたが、ワタナベジムにいたからこそここまでできました」と会長に感謝し涙した。
別府優樹(25=久留米櫛間)
この試合をリングサイドで観戦した別府は「自分が戦うと想定して観ていたが何よりパンチが硬そうだなと思った。相手が入ってくるところにショートパンチを入れていたのが印象的だった。大川さんのステップインのパンチが当たっていたのでそこは自分が得意とするところなので有効になりそうだなと思った。試合自体は噛み合うのではないか。どっちが先にパンチを当てるかが勝負になりそうですね」と試合の感想を語った。