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[試合後会見]2016.9.10

日本王者尾川堅一の2度目の防衛戦

尾川、松下に手こずる
 10日(土)に後楽園ホールで開催された「第553回ダイナミックグローブ」メインイベントは日本スーパーフェザー級タイトルマッチ、王者尾川堅一(28=帝拳)と同級1位松下拳斗(35=千里馬神戸)が拳を交えた。最初から飛ばしていくと意気込んだ尾川はゴングと同時に鋭く踏みこんで右ストレートを打っていった。
最後の最後に倒した
 尾川がジャブを出しながら強烈なワンツーを繰り出すと松下も左を伸ばして対抗。2ラウンドから尾川はプレスを強め、右ストレートをボディにめり込ませ後退させた。ペースを取り戻したい松下は距離を作ってワンツーを好打。狙い過ぎて力が入っている尾川に的確にパンチを当てていった。5ラウンド終了時の公開採点は48-47が2者、48-48が1者で尾川がリード。積極的な攻撃を見せる尾川だが、パンチの振りが大きく左フックは空を切る場面が増えた。ポイントは尾川に流れたが松下も右ストレートで反撃。最終ラウンド、ブレークの際に尾川の左フックが入ってしまい松下は休憩が与えられた。再開後の終了残り10秒を切ったところで尾川が左フックを振り抜くとついにダウンを奪った。懸命に立ち上がった松下だったが、レフェリーは試合をストップした。尾川が連続KOでV2を達成した。
執念を感じた
 左目を氷で冷やしながら会見に臨んだ尾川は「練習の段階では調子が良かったのだが、あれだけクニャクニャ動かれるのは想定外だった。自分の詰めの甘さが出たしジャブの繋ぎも良くなかった。最後に左フックで倒し切ったけど30点ですね」と辛口採点と付けた。最終ラウンドは倒しにいったという尾川は「ラスト10秒で相手が前にかがんで効いたのがわかった。最後に倒したパンチは手応えがあった。最後に倒したのは(自分が)持っているからかな」 と周囲の笑いを誘ったが「内藤君の時もそうだったけど時間がない時に効かせるパンチを当てられるならもっと早い時間にやれよと思いました」と反省のコメントが口を突いた。今後の目標を聞かれた尾川は「年内にもう一回、防衛戦がしたい。2位の金子大樹君(横浜光)、3位の内藤律樹君(E&Jカシアス)、東洋王者の伊藤正雪君(伴流)の3人とやりたい。戦ったら勝てる自信はある」 と国内スーパーフェザー級のトップに位置する3人との対戦を希望した。
善戦したが…。
 一方、これが最後の挑戦と臨むもあと一歩手が届かず失敗に終わった松下。残り時間僅か1秒でのストップにショックは隠しきれない様子だったが、控え室では気丈に受け答えした。相手のパンチを外して打つ、またタイミングをずらして先手で攻める作戦は、倒されるまでは遂行できていたと話したが、やはり最後のダウンに唇を噛み締め、「獲りたかった。悔しい…」と涙した。千里馬啓徳会長も「確かにポイントでは負けていたかも知れないが、松下がファイティングポーズを取っていたにも関わらず止められた。2度目のストップ後の加撃も注意だけではなく反則を取ってほしかった。せっかくの良いファイトが台無し」とレフリングに不満をもらし、「最後と決めていたが、松下もこのままじゃ終われない」と再起を匂わせた。
伊藤雅雪(伴流)
 この試合をリングサイドで観戦したOPBF東洋太平洋同級王者の伊藤雅雪は「とても良い試合で松下選手の意地を感じていただけに最後の場面は減点を取ってよかったと思う。終わり方も残念で勿体ない」と試合の感想をコメント。「尾川選手はパンチとスピード、体全体のパワーがすごい。ただ、成長はみられなかったが今日の試合でさらに強くなるのではないか。もし自分が戦ったら精神面のスタミナが大事になってくる。今日の出来だったら10回のうち9回は勝てる」と自信を見せた。
採点表