石本康隆の初防衛戦

　試合は打ち終わりを狙った挑戦者が右ストレートを好打しスタート。王者も固い立ち上がりながら的確にジャブを突いて組み立てると、2回に右のショートをカウンターで合わせダウンを奪った。中盤、藤原の圧力に押された石本だが、徐々にスピードを上げるとコンパクトに左右をヒットさせ、5回の途中採点を3者49-45の3-0リードで折り返した。後半に入りペースを上げる石本と追う藤原の頭がぶつかり、石本は前頭部を負傷。何度かドクターチェックのため中断されたが続行となり、打ち合いは激しさを増していった。ベルトへの執念を見せ距離を潰し続けた藤原だが、9回に石本のリズムから右アッパーを突き上げられ2度目のダウン。石本の猛攻をしのぐも、スピード・手数・試合運びと総合力の差を埋めることができず、このまま終了のゴングを聞いた。

　判定はジャッジ3者ともの98-90で石本が初防衛に成功。最低限の責任は果たせたとホッと安堵の表情を見せたが、「どこかフワフワして出だしが悪かった」と試合を振り返り、「色気づいた訳じゃないがダウンを奪ったあとの攻めが雑。手数も少なく後手だった。もう少しスカッと勝ちたかった」と反省。更なる上を目指すためにも「攻めのボクシング」を課題にあげた。

　一方、タイトル初挑戦に失敗した藤原は、バッティングで負傷した左目上の出血を拭いながら淡々と試合を振り返った。「王者はクリンチの際のパワーがすごくポイントの取り方が上手かった。ダウンを奪われてからパンチを合わせようと焦ってしまった。7回にチャンスがあったが攻め込ませてもらえなかった。キャリアの差を感じた」。