[発表会見]2016.2.13
当たって砕けろの精神
花形会長と大平
3月3日(木)、タイ・ナコンラチャシマ県のスラナリー陸軍施設内の野外特設リングで前日本ミニマム級王者の大平剛(31=花形)がWBC世界同級王者ワンヒン・メナヨーティン(30=タイ)に挑戦することが正式に決まった。大平の世界挑戦は14年大晦日の4団体制覇王者・高山勝成(仲里)戦以来、2度目。
2度目の世界挑戦
13日に神奈川県内の所属ジムで発表会見が行われ、同席した花形進会長によるとオファーは半年前にあり、一度は流れて大平の日本タイトル返上後にあらためて決定したとのこと。大平は「世界戦は一生に一度だと思っていたが、チャンスをもらって嬉しい。前回のような悔しい思いはしたくない」と胸の内を明かし、「力を出し切れるように準備をしている」と意気込んだ。
会見の模様
これが4度目の防衛戦となるワンヒンは40戦全勝(15KO)と無敗を誇る絶対王者。スピードを武器とするサウスポースタイルの大平は「固いガードと的確なジャブを持つ技巧派で、踏み込んでのボディストレートも威力がありそう」と警戒し、左構えを苦手としているイメージもなく、攻守のバランスが取れていると評価したが、「自分のようにスピードでかき回す選手との対戦は少ない。つけこむとしたらその辺り」と勝機を見出していた。また、高山戦後に世界で戦う上でのパワー不足を痛感し、大相撲初場所で日本出身力士として10年ぶりに幕内優勝を果たした大関・琴奨菊関を指導するフィジカルトレーナーに師事。機動力を活かすための体幹づくりに勤しみ、下半身から上体へのパワー伝達に手応えを感じている様子だ。
いちかばちかやるしかない
ただ、これまで多くの日本人選手が熱帯気候特有の暑さに苦しめられ、パフォーマンスを発揮することなく敗れている。スタミナが命綱の大平もこの辺りは十分に認識し、試合1週間前にタイ入りし、暑さに体を慣らすつもりだ。
14年大晦日の高山戦
日本人のタイでの世界戦成績は、13年にWBA世界暫定王座を獲得した江藤光喜(白井・具志堅)をのぞき19敗1分。この中には元WBA世界フライ級王者の花形進会長、花形ジムのトレーナーで元日本Sバンタム級王者の木村章司氏も含まれる。花形会長は「うちはこれで3回目。圧倒的に不利だが、100%勝てないということはない。当たって砕けろの精神で精一杯練習をしてやるだけ」と3度目の正直を狙う。大平を指導する伊藤勲トレーナーも「注目されていない選手が大金星を挙げるのはよくあること。その力が大平にあると信じている」と期待。6年前にタイの屋外リングで世界戦を経験した木村トレーナーは「リング上は立っているだけでも疲れる暑さ。僕の経験を大平に活かしたい」と話し、チーム花形で大平を支えると結束した。
チーム一丸となって世界を目指す!
緻密なペース配分と高度な戦術が要求される2度目の世界戦。大平は強化したフットワークと師匠譲りの左クロス、「花形スペシャル」を武器に日本人初の快挙を狙う。なお、試合の模様はタイTV局チャンネル7で生中継され、インターネットでのストリーミング配信も予定されている。