[試合後談話]2015.7.5
豪腕対決の行方は…
土屋は燃えたか
2010年度全日本新人王(東日本ともにMVP)で日本ライト級10位の土屋修平(28=角海老宝石)が4日、後楽園ホールで相馬一哉(35=一力)を相手に再起2戦目を行った。5戦ぶりに日本人と拳を交えた土屋。KO率の高い両者の対決を前に聖地のファンは固唾を呑んだ。
必死な形相の相馬
この日の土屋はジャブを意識的に出しつつ、デイフェンスにも注意して慎重な立ち上がりを見せる。しかし、今回が4度目の日本ランカー挑戦となる相馬は、ブロックしながらボディの連打で攻勢。3回には左フックで土屋の腰を落とした。中盤、土屋はパンチを入れるが相馬の前進は止まらず、逆にロープを背にしてしまう。それでも土屋は大声援の中、終盤は頭をつけての打ち合いで上回り、7回の開始前に腹をくくれをハッパをかけられスパート。試合終了間際には一気に相馬を攻め立てた。前半は相馬、後半は土屋のペースで進んだ試合は判定にもつれ込み、土屋が最大4ポイント差をつけランキングを死守した。
新たなスタイルを模索中
控室に戻った土屋は、「もっとやりようがあった。何もかもが中途半端だった」と敗者のように唇を噛んだ。「今回はジャブを丁寧に突く作戦だったが、それだけでは相手の前進を止めることができなかった」。「相手はとにかく頑丈でやりにくさ満点だった」と反省の弁が続いた。担当の佐藤直樹トレーナーは「今まではフィジカルで勝っていたが、それだけでは上位には通用しない。組立てながら倒すボクシングを模索している中、7回の右ストレートは練習の成果」と落ち込む教え子を優しくフォローした。
覚悟はできたか
何としても日本タイトル戦がやりたいと、何度も口にした土屋。今回は相手の頑張りもあり苦戦したが、これまで持っていたパワーボクシングに加え、課題に挙げた組み立てるボクシングが完成し たとき、本人が切望するタイトル戦も近づいているのではないだろうか。
両雄の想いは通じた
最後になるが、両者は東京都青梅市で毎月行われている障害者自立支援施設でのボランティア活動へ積極的に参加し、この日は皆勤賞で汗を流す利用者のうち、5人が招待された。初めて観戦したボクシングの試合、さらにいつも優しい2人がリング上で激しく打ち合っている姿に感動、胸をときめかせていたと後で話を聞いた。「土屋先生も相馬先生も頑張っていて恰好よかった!あんなに凄い先生にボクシングを教えてもらっていて嬉しい。僕も明日から頑張る!」と誇らしげに会場を後にしたとのことだ。