[試合後談話]2014.11.15
高山和徳、復活の狼煙は…
高山、新天地で
14日、後楽園ホールで行われた「Mega Fight Vol.52」のセミファイナル、フェザー級6回戦では、今年9月に野口ジムへ移籍した元日本同級1位の高山和徳(32)が、日本同級4位、OPBF東洋太平洋同級7位の上野則之(RK蒲田)を相手に、実に3年4ヶ月ぶりのリングに立った。
上野、崩れ落ちる
硬い立ち上がりの高山は初回、上野から挨拶代わりの右ストレートを先制されたが、すぐに落ち着きを取り戻し、ジャブを散らしながら距離をキープ。するとラウンド終盤、角度のある右クロスを上野のテンプルに浴びせダウンを奪った。視界の外からのパンチに、何で倒れたのか分からない様子の上野だったが、ここはダメージなく立ち上がりラウンドをしのいだ。2ラウンドからはこの右クロスを警戒し、左のガードを高く上げた上野だが、腕が下がったところに同じパンチを浴びバランスを崩す。上野もお返しとばかりに右フックをフルスイングし高山の頭部を掠めたが、高山も呼応し右クロスを振り抜き、この試合一番のスリリングな場面となった。3ラウンドも上野が距離を潰しにかかり左ボディで高山を詰めたが、今度はラウンド終了直前に高山の左フックが直撃。この試合、2度目のダウンを奪った。以降、必死に追い上げる上野を高山が足で捌いて逃げ切り、55-57、58-56、58-55の判定3-0で見事復活をはたした。
移籍初戦を勝利
高山はリング上のインタビューで「色々とありましたが、(ボクシングを)諦めらめなくて良かった。これからは一日一日を無駄にせず、しっかりと練習をしていきたい」と勝利を喜び、送り出してくれた古巣の船橋ドラゴンジム、迎えてくれた野口ジムに感謝した。
練習の賜物
また試合後の取材で、初回にダウンを奪った角度のある右クロスは、上野戦用に練習を重ねていたパンチだったと明かした。「イメージ通りのパンチが入った。復帰戦は正直怖かったが、相手が上野選手だから『やってやるぞ』と腹をくくれた。今日は出来すぎだと思うし、浮かれてはいません」。
継続は力なり
高山は11年7月に当時の日本同級王者、細野悟(大橋 ※現王者)への挑戦で右目を痛め、長期休養となり一時は引退も囁かれていた。「1年後には復帰するつもりでしたが、怪我の治りが遅かった。それでも動ける体作りは続けていました」。復帰の決め手となったのは、今年8月のフィリピン・セブ島での合宿で、元OPBFスーパーバンタム級王者のロリ・ガスカとスパーリングをした時だった。「最初はダメだろうと思ってやったが、意外にも集中して戦うことができた」と言う。そして新たな環境で復帰の臨み、今回の試合でランキング復活も確実なものとした。
今後に期待
「以前の自分を超えることができた」。目指すは2度の挑戦ではたせなかった王座のみ。逆境を乗り越え、リングに帰ってきた高山が、復活の狼煙を高らかに上げた。