河野公平氏がモロニ―の強さを語る

　11月1日(日本時間)、WBA(世界ボクシング協会)・IBF(国際ボクシング連盟)バンタム級統一王者の井上尚弥(27=大橋)に挑戦する、WBA同級2位、IBF同級4位のジェイソン・モロニ―(29=オーストラリア)。このモロニ―と拳を交えた唯一の日本人選手が、元WBA世界スーパーフライ級王者の河野公平氏(ワタナベ→引退)だ。
　2018年5月にオーストラリア・メルボルンで、モロニ―が保持するWBAオセアニア・バンタム級王座に挑んだ河野氏だったが、3回にダウンを喫し、左目尻を切り裂かれ6回TKO負け。この試合を最後に河野氏は18年間のボクシング人生に幕を下ろした。
　2016年12月に井上とも対戦している河野氏に、モロニ―の強さと勝敗予想を聞いた。

■まず、モロニ―との試合が決まった経緯を教えてください。
河野 元々、レックス・ツォー(香港)との試合後に再戦する話があったのでやる気満々で、試合の2日後から練習をしていたのですが、いつまで経っても相手側から連絡が来ませんでした。12月になり、再戦の話がなくなり、マネージャーに世界を狙える相手と戦いたいと伝えたところ、モロニ―サイドから話が来ました。
※河野氏は、2017年10月に香港でレックス・ツォーと対戦したが、7回負傷判定負けを喫した。

■モロニ―と向き合ったときに感じたことを教えてください。
河野 その前に計量時に思ったのが、僕はスーパーフライ級を主戦場としていたのですが、彼はバンタム級より上の階級でもやっていたと思うんですが、体格が大きいなと感じました。あとはイケメンだなと思いました(笑)。

■前日計量で大きいと感じたということですが、試合当日はリカバリーしてくるのでさらに大きく感じたのではないですか?
河野 はい。自分はいつも計量後に体重をアップするために2回食事をするのですが、ホテルからスーパーまで遠くて買い物ができず1回しか食べることができず、試合当日はスーパーフライ級の体重と変わらないくらいでした。なので、なおさら相手にパワーを感じました。

■拳を交えてみてモロニ―の良さを教えてください。
河野 特別どれがすごいというのはないんですが、すべてにおいてレベルが高い選手です。試合が終わった後に「この選手はいずれ世界チャンピオンになるな」と、思いました。トリッキーな動きをするとかはなく、正統派でガードが固く非の打ちどころのない崩しにくいタイプです。

■パンチは強かったですか?
河野 KO率は8割くらいだったと思うのですが、試合後のダメージは3〜4ヶ月ありました。これまで試合をしてきた中で一番ダメージが残りました。ずっと頭が痛かったです。左目尻もカットしたのですが、一番傷がひどく塞がるのにも時間がかかりました。

■河野選手は井上選手とも試合をしていますが、その時よりもダメージがあったと?
河野 井上戦は一発で倒されたので、そこまでダメージは残らないのです。

■モロニ―の「ここは弱いな」と思ったところは?
河野 特にないですね。ボクシングの教科書のようなスタイルで、レベルが高いです。まだ、世界チャンピオンになっていないですが、世界挑戦した時もどっちが勝ってもおかしくない試合らしいですね。ただ、今回は相手が井上君なので…、相手が悪いな(苦笑)。
※モロニ―は2018年10月にエマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)が保持するIBF世界バンタム級王座に挑戦したが、2-1の判定負けで王座獲得に失敗した

■あえて井上選手が警戒するところは?
河野 最近はどうなのかわからないですが、右のオーバーハンドが強いです。そのパンチで切り裂かれたので。ただ、井上君がさらに強いし、(井上選手は)強い相手とも戦っているので。

■ズバリ!試合の予想を教えてください。
河野 もちろん、井上君が勝ちます。モロニ―は誰と戦っても善戦する崩しにくい選手ですが、井上君ならこじ開けるかなと思います。KOしてほしいですね。

■どうもありがとうございました。

<取材・構成/やすおかだいご>
<試合写真/善理>