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[試合後会見]2019.4.14

熊本は意地とプライドの超激闘

 WBO(世界ボクシング機構)アジアパシフィック・フェザー級王者の森武蔵(19=薬師寺)が14日、地元・熊本で初防衛戦を迎えた。挑戦者は昨年11月、森に5回負傷判定でこのタイトルを奪われた前王者のリチャード・プミクピック(比)。会場の合志市総合体育館は超満員に膨れ上がり、ダイレクトリマッチの行方を見守った。
森が競り勝った
 試合はサウスポー森が、左ストレートを突き刺し好スタートを切ったかに見えたが、プミクピックも鋭く踏み込んでは右ストレートを連続でヒットさせた。リードを許しかけた森だが、3回に入るとロングレンジからの左ボディストレートを好打し、プミクピックの動きを止めた。この攻撃でペースを取り戻した森はワンツーを主体にポイントを挽回。互いに踏み込んではゼロ距離でパンチを放ち、一瞬たりとも気を抜けない打ち合いを展開し会場を沸かせた。
採点表
 6回に入ると、ギアを入れ直したプミクピックがいきなりの右ストレート、右フックで襲いかかるが、ここを耐えた森は7回、距離を取り直し、ロングレンジからの左でプミクピックの左目上を切り裂いた。終盤も総力戦が続き、いつKOが生まれてもおかしくはなかった。シーソーゲームとなった試合はそのまま最終回へともつれ込み、プミクピックがインサイドワークを光らせ右で飛び込めば、森も踏み込んでの左ストレートを機能させ、右フックで迎撃。判定に委ねられた結果はジャッジ二者が2ポイント差で森を支持した。
絶対に負けたくなかった
 初防衛を地元熊本の復興とともに成功させた森は、喜びを滲ませると「最初はパンチが当たると思ったが、相手のタイミングの良い右に手を焼いた。左ボディの感触はあったが、KOを狙いすぎてしまった」と反省の弁。それでも「プライドとプライドのぶつかり合いだった。絶対に負けたくなかった」と力強くコメント。
 「何度も心が折れそうになったが、サラストレーナーからお前がチャンピオンだと言われ持ち直せた。次へ向けては、これからどうするか会長と話して決めて行きたいが、どんな相手が来ても勝てるように頑張ります」と話し、熊本のファンに向けて「判定になってしまいすみません。もっと倒せる力をつけて帰ってきます。今日の判定があったから世界が取れたと言えるようになりたい。しっかり実力をつけて世界防衛戦をまた熊本でやりたいです」と展望を語った。
サラス氏を囲んで
 会見に同席した薬師寺保栄会長は「もうちょっと違う展開になると思ったが、相手もしっかり研究していた。森も攻めどころに攻めきれなかったのが判定が割れた原因になった」と冷静に分析。「次はまた防衛をするのか、世界ランクを上げるかは決めていないが、森は今日で地元の皆さんにも知ってもらえたと思う。期待を背負い、復興にも繋がって良かった。森にはこれから上を目指して強い相手とやらせていきたい」と愛弟子の成長に期待した。
 また、今回森を指導したイスマエル・サラストレーナーは「接戦だが試合への決心を見せてくれた。森との練習は短い期間だったが、もっと長く一緒に練習をしていきたい。相手の正面にいすぎた面もあったが、気持ちが強く良いパンチを放っていた。どちらの気持ちが強かったかと言えば、確実に森の方が強かった」と労った。
前王者は判定に不服
 一方、悔しさを滲ませたプミクピックは「厳しい試合だったが、自分が勝っていたと思った」とだけ語り、すぐさま帰路へついた。

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