関東平均7.1%瞬間最高視聴率11%

　夏休み最初のボクシングダブル世界戦から一夜明けた24日、都内のワタナベジムで喜び会見が開かれた。6度目の世界王座防衛に成功した田口良一(ワタナベ)と日本人最速1年3ヶ月で世界王座奪取に成功した京口紘人(ワタナベ)。右頬っぺたを丸々と膨らませた状態で照れ笑いを浮かべて席に着いたのはIBF世界ミニマム級新チャンピオン。30戦目を終えてベテランの域に入ったとの自覚を示したのは、元祖強かわいいチャンピオン。会見の冒頭、席に並ぶと「強かわいいを継承します」と、王者の勲章を手で覆う後輩に目をやった。

　テレビ東京で放送された昨夜のダブルタイトルマッチの関東平均視聴率は7.1%。瞬間最高視聴率は京口紘人(ワタナベ)の判定結果が出た瞬間で11%。夏休み最初の日曜日、裏番組など総合的に判断すると高視聴率を稼いだと高評価を得た。
　特記すべきは、放映権の関係から他局で試合が放送される選手らがゲスト解説を務めるなど、テレビ局の垣根を超えて、お茶の間に豪華な顔ぶれが届けられたことだろう。リングサイドからは内山高志(ワタナベ)、長谷川穂積氏、亀田興毅氏、田中恒成(畑中)、ノニト・ドネア(比/米)らの姿が映し出された。

　WBO世界王者の田中恒成(畑中)との王座統一戦に拍車がかかった昨夜の大一番を終えた田口は「ホッとしている。試合内容も良かったので嬉しい」と一息いれた。試合後のリング上でも顔を合わせたライバルとの決戦に関して「やるべきもの。簡単に勝てる相手ではないが、これからレベルアップして、特にパンチ力をつけて挑む」と目を輝かせた。今まではスポーツ感覚でボクシングをしていたという田口だが、昨夜の試合は「相手を潰すぐらいの気持ちで臨んだ」とメンタルの強化が出来たことに自信を見せた。

　世界初挑戦で勢いも味方につけて王座奪取に成功した京口は「チャンピオンになった実感はまだないです」と切り出すと「ラフな相手だったがいい経験になった。これからも常に向かっていく」とチャレンジャースピリッツを忘れなかった。また、京口が「ジョーちゃん」と慕う辰吉丈一郎氏に嬉しい報告が出来たことも喜んだ。
　京口をここまで叩き上げてきた井上孝志トレーナーは、採点を聞いて勝ちを確信したとのことだが「試合中はポイントのことは考えなかった」とチャレンジャーの戦い方に徹していたことを明かした。
　会見に同席した渡辺均会長は「まだ世界挑戦は早いかなとも思ったが、期待感に乗っかってやらせた」と今後の成長がカギとしつつもボクシング界に新星のごとく現れたワンダーボーイの誕生に目を細めた。
　この日の会見の席で京口紘人は、先日、世間を騒がせた兄の京口竜人(グリーンツダ)の不祥事に関して、ファン及び関係者らに対して謝罪した。

　また、日本スーパーフライ級王座防衛に成功した船井龍一(ワタナベ)も会見に同席。「こんな顔になっちゃいました」と両まぶたに大きなバンソウコウを指差して記者の笑いを誘ったが「これから日本やアジアの強い選手と試合をして、会長からゴーサインが出れば世界に挑みたい」と抱負を語った。これには渡辺会長も「よく頑張っているしキャリアもついてきたのでいつでもいける」と世界挑戦のチャンスを探ることを示唆した。

　9月に開催される田中恒成(畑中)の防衛戦の結果次第ではあるものの、年末には王座統一戦を迎えることが濃厚だが、開催地に関して「場所はどこでもいい。名古屋には姉も住んでいる」とアウェイ戦も辞さない構えを見せたV6チャンピオン田口良一。試合の放映権に話が及ぶと渡辺会長は「いい条件を期待して待ってます」と笑顔のまま、話題をテレビ東京のプロデューサーに投げかけた。さあ、今年の下半期は始まったばかり。ボクシングから目が離せない!