ライト級の日本&OPBF東洋太平洋2冠王者、加藤善孝(29=角海老宝石)が年明け最初のタイトルマッチとして、11日に後楽園ホールでOPBF2度目の防衛戦に臨む。加藤は昨年5月に元日本&OPBF王者の佐々木基樹(帝拳=引退)との王座決定戦を制し、同王座を獲得。10月には劣勢も予想された強打を誇る指名挑戦のレイ・ラバオ(比)を封じ初防衛に成功した。2011年10月の日本王座獲得以来、抜群の安定感を発揮し、今や世界も視野に入れる王者が挑戦者に選んだのは、昨年ブレイクした関西のホープ、中谷正義(24=井岡)だ。
中谷は現在6戦6勝(5KO)無敗で、身長180cmの恵まれた体格を活かしたジャブからのワンツーはもちろん、長身から振り下ろす右ストレート、強烈な左フックを武器に持つ好戦的な右ボクサーファイター。2011年6月にB級デビューし、高校のアマチュア時代には同門で興国高校同期の井岡一翔、宮崎亮らとともに「興国5人衆」と呼ばれていた。アマチュア戦績は60戦45勝(30KO・RSC)15敗。
圧巻だったのは昨年7月の前戦、東西ホープ対決となった加藤の同門、土屋修平との一戦だ。関東初登場の中谷は、「KOキング」土屋のパンチを巧みなフットワークで空を切らせると、3Rに距離を潰しにきた土屋にショートの左を合わせて腰を砕き、すかさず左ボディで2度キャンバスに沈め10カウントを数えさせた。後楽園ホールに残したインパンクトはあまりにも強烈だった。しかし、プロのリングでの経験の浅さはやはり不安要素でもある。ヘッドギアなしでまともに打たれたことがほとんどなく、タフが売りの加藤を相手に土屋戦のような仕事ができるのか予想がつかない。
加藤にとっては後輩の仇討ちとも言えるが、これまで日本、アジアで敵なしを証明し、世界進出を前に若き芽を摘み取っておきたいところでもある。加藤は今回の防衛成功を条件に、2年間守り続けた日本王座を返上することも発表している。
2014年のボクシング界を占う、最初のタイトルマッチ。デビュー10年目を迎える加藤が世界へと弾みをつけるのか、それとも新進気鋭の中谷が7戦目で王座を奪取するのか――。年明けから見逃せない注目対決となった。
Picupバックナンバー
□TOP
(C)QBIX