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[試合後談話]2025.6.30

富施郁哉が重岡銀次朗を勇気づけた。

富施郁哉(ワタナベ)再起2戦目
 前日本バンタム級王者の富施郁哉(26=ワタナベ)が30日、後楽園ホールで開催された「WLD vol.2」のセミファイナルに出場、120LB(約54.4㎏)契約8回戦で元世界ランカーのマーク・アンソニー・ヘラルド(33=比)と拳を交えた。

 同門でチームメイトの前IBF(国際ボクシング連盟)ミニマム級王者の重岡銀次朗(25)は、5月24日(土)に行われた試合後に意識を失って、大阪市内の病院に緊急搬送され、急性右硬膜下血種のため開頭手術を受けた。手術は成功したが、現在も経過観察中で、麻酔を抜いた今も意識は戻っていない。
ダウンを奪った!
 サウスポー同士による一戦は、富施がスピードを活かした攻撃を披露していたが、2回に状況が一変。ヘラルドの左クロスを浴びてダメージを負った。3回もヘラルドは左オーバーハンドで顔を弾き攻勢。守勢を強いられた富施だが、4回に左アッパーで起死回生のダウンを演出。その後は左ストレートを上手く使い分け、着実にポイントを重ねた。
「銀次朗のことは毎日考えている」
 試合後、取材に応じた富施は「毎回、セコンドについてくれた銀次朗がいないが、銀次朗も頑張っているので、何としても勝ちたかった。銀次朗のことは毎日考えている。早く意識が戻ってほしい」と、拳友の重岡銀次朗の回復を祈った。
重岡銀次朗の回復を願う
 この日、後楽園ホールのロビーには、銀次朗の回復を願う寄せ書きの色紙が置かれ、ファンや関係者が熱い思いを綴った。
「勝って次につながった」
 難敵に勝利した富施は、「序盤、相手の左が見えにくくて効いてしまった。左アッパーは練習していたパンチで自然と出た。ダウンを奪ってから相手の動きが落ちた。KOしたかったが、一発があるので警戒した。勝たないと次につながらない。後半は深追いせずに戦った」と振り返った。
「左アッパーは見えなかった」
 一方、最後まで粘り強く戦ったヘラルドは、「(ダウンした)左アッパーは見えなかった。精一杯頑張ったが、お客さんのために良い試合はできたと思う」と語った。