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[試合後会見]2019.4.6

日本スーパーライト級王座戦は白熱の攻防

 チャンピオンカーニバル屈指の好カードとして注目された、日本スーパーライト級タイトルマッチ、王者の細川バレンタイン(38=角海老宝石)対同級1位の井上浩樹(26=大橋)が6日に後楽園ホールで開催された「ダイナミックグローブ」にメインイベントで行われた。超満員で埋め尽くされた会場に身長差14pの両雄がリングインすると観客のボルテージは最高潮に上がった。
新チャンピオン誕生
 ジリジリと迫る細川に対し、サウスポー井上は距離を作り左ストレートで迎え撃つ展開。2回、細川はプレスをかけて一瞬の飛び込みから右フックを叩きつけると、積極的な攻撃を見せた。対する井上は、速いジャブからワンツーを決めて対抗。前半は一進一退の攻防が続いた。5ラウンド終了時の公開採点は48-47×3で挑戦者がリード。7回、井上はワンツーでガクッと腰を沈めさせると、左右フックで明確にポイントを奪った。中盤はリズムに乗った井上が、左ストレートを軸にジャッジに攻勢をアピール。終盤に入っても井上は懐に入らせず捌き切った。
相手の気持ちの強さを感じた
 デビューから無傷の13連勝でベルトを巻いた井上は、「相手のプレッシャーに飲まれてしまって堅実に戦い過ぎてしまった。自分的には物足りない試合をしてしまった」とやや浮かない表情。それでも、「試合前は勝てるか不安で重圧も感じたが勝てて良かった。強い相手から獲ったベルトは重いですね」と喜びに浸った。
これからは盛り上がる試合をする
 会見に同席した大橋秀行会長によると、試合前に拳を負傷して1ヶ月間は実戦練習ができず試合に臨んだことを明かすと、「その状況で今日の戦いができるのだから、やはり能力が高いとあらためて確信した」と井上の実力を評価した。
 井上の従兄弟でWBA世界バンタム級王者の井上尚弥(25)は、「もっと実力のある選手。今日は半分も出せていないが、勝ったことにはホッとしている」とチャンピオン誕生を祝福するとともにこれからの奮起に期待した。
 会見の最後に井上は、「これからは相手の分まで背負って戦っていき、もっとインパクトのある試合をしていく」とさらなる飛躍を誓い、5月18日(日本時間19日)に英国グラスゴーで開催されるWBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)準決勝を観戦するため、パスポートを取りに行くと話した。
彼の方が強かった
 一方、虎の子のタイトルを失った細川は「前半の採点でジャッジの傾向が分かったのなら、後半はもう少し入らないといけなかったが、僕が彼に追いつけなかった」と反省し、「もっと(井上が)手を出してくれれば中に入ってやれたが、そこが彼の上手いところ。パンチよりもスピードが厄介だった」と敗因を分析し、肩を落とした。
 17年に角海老宝石ジムに移籍し、日本王座を獲得後は大手企業を退職してまでボクシングに懸けてきた細川だが力及ばず。流した涙は言葉にこそしなかったが、ここまで苦楽をともにした奥村健太、田部井要、洪東植トレーナーへの申し訳なさからだろう。「僕も彼仕様に戦ったが、井上も僕仕様に戦った。これ以上ないというぐらいやってきたが、彼の方が強かった」と素直に力の差を認めた細川の復活は果たしてあるのか――。
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