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[試合後会見]2016.10.3

勝てば世界へ!バズーカは炸裂したのか

 今年の7月に6度防衛した日本フェザー級王座を返上し、自身4度目の世界挑戦にターゲットを絞ったIBF世界ランキング4位の細野悟(32=大橋)が3日、後楽園ホールに同級3位のジョナタン・バルロス(32)をアルゼンチンから招いて世界挑戦者決定戦のリングで拳を交えた。リングサイドには、この試合の観戦のため英国から来日したIBF世界フェザー級王者のリー・セルビーの姿があった。役者がそろった聖地のリング。はたして細野は元WBA同級王者を相手に"バスーカ"を炸裂、次期挑戦者として名乗りを上げることができたのか――。
試合巧者のバルロスを詰めきれず
 プレッシャーをかけた細野が左ボディを浴びせまずまずの立ち上がりを見せたが、ノーガードながら反応の良さと上体の柔らかさを生かしどこからでもスムーズに手を出すバルロスが徐々に主導権を握っていった。そんな中でも細野はゴリゴリと距離を潰して左ボディで攻め込んだが、バルロスの体を丸めるにはいたらず。クリンチで逃げられる場面が目立った。
 突破口が見出せないまま進んだ9回には先手で鋭いジャブ、ワンツーを放つバルロスに対し、狙いすぎた細野の手が止まってしまった。10回には気合を入れなおし再び圧力を強めた細野だが、直線的な攻撃では試合巧者のバルロスを捉えきれなかった。判定はジャッジ1者が細野を支持するも、2者はバルロスとコール。世界への切符は元世界王者が手にした。
IBF王者リー・セルビー
 リングサイドで試合を見つめていたセルビーは、「印象では2ポイントほど細野が上回っているように見えたが、バルロスも良いパンチを持っていた。アグレッシブなファイトで良い試合だった」と二人を称え、次期挑戦者に決まったバルロスとの対戦を楽しみにしているとコメントを残した。
ショックを隠しきれない細野
 控え室に戻った細野はバッティングで負った左目上の傷が痛々しく、より一層の悲壮感を強調していた。「相手がカウンター狙いでいることが分かっていたので、距離を潰しきることができなかった。相手が上手かった。負けるときはいつもあんな感じ。これまでに改善することができなかった」と唇を噛み締めながら試合を振り返った。続けて大橋秀行会長も「最近にしては初回は良かった。何度か相手をグラつかせるなど見せ場も作ったが、やはり完敗」と敗戦を受け入れた。
 最後に今後について問われた細野は「勝つことしか考えていなかったので…、今後のことは分からない」と答えるのが精一杯だった。
スタッフと喜びを分かち合ったバルロス
 一方、世界王座返り咲きのチャンスを掴んだバルロスは、「タフな試合で計画していた通りにはいかなかった。これは細野がパワフルだったため。左ボディは効いていなかったが、8回の受けたクロスで右の聴覚がおかしくなった。またバッティングを恐れてナーバスにもなってしまった。このチャンスを手にしたことは素直に嬉しい。早く(セルビーに)挑戦したい」と語り、トレーナー、プロモーターらと喜びを分かち合った。
天笠も熱視線を送ったが
 この試合を会場で観戦した前東洋太平洋同級王者の天笠尚(山上)は、「相手は上体の柔らかさがあり、東洋圏にはいないタイプだと思った。クリーンヒットはバルロスの方が上回っていて最後まで細野さんのペースにさせなかった。練習してきたことを出し切ったと思うが向こうのクリンチが上手かった。これまで国内のフェザー級を引っ張ってきた細野さんが負けたのはショックで残念でした」と感想を語った。

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