ハリケーン・カーター氏

　60年代を席巻した強打のミドル級世界ランカー、ルビン・ハリケーン・カーター氏(米)が20日、前立腺癌のためカナダのトロントで死去した。76歳だった。

　カーター氏は61年にプロデビューし、63年には当時の世界ミドル級王者エミール・グリフィス(バージン諸島/米)に無冠戦で1回TKO勝ちを収めるなど顕著な実績を残した。64年にはジョーイ・ジャルデロ(米)の持つ世界ミドル級王座に挑戦したこともある(15回判定負け)。そのキャリアは66年、29歳の時に40戦29勝(19KO)12敗1分で突然幕を下ろすことになった。米国ニュージャージー州パターソンで起こった3人射殺事件の容疑者として逮捕され、終身刑を言い渡されたのだ。冤罪を訴えたカーター氏は76年にいったんは釈放されたものの、再審では再び終身刑になり、冤罪が確定する85年まで服役することになった。こうしたカーター氏の半生は99年に「ハリケーン」のタイトルで映画化された。自由の身になってからは冤罪事件の解決に取り組み、同じ年に起こった殺人事件で死刑を言い渡された袴田巌さんに支援メッセージを送るなどした。