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[ニュース]2011.4.20

トレーナー リチャードソンA

 マニー・パッキャオ&フレディ・ローチのコンビは10年間不変だが、一方のシェーン・モズリー&ナジーム・リチャードソンのコンビは2年前に組んだばかりだ。新チーム結成後の3戦は1勝1敗1分。今度の大一番で成否がはっきりすることになりそうだ。
 名伯楽の誉れ高いローチがメディアの要求に応じて情報を比較的オープンにするのとは対照的に、リチャードソンは部外者とは一定の距離を保つタイプといえそうだ。そのためプロフィール等、プライバシーに関する情報は極めて少ないのが現状である。トレーナー・リチャードソンPART2
リチャードソンA

 ホプキンスを挟んでリチャードソンとローチにはちょっとした因縁がある。ホプキンスがジョー・カルザゲ(英)と対戦したときのこと(08年4月)。発作で倒れたリチャードソンの変わりに代役として急遽ローチがコーナーについたのだ。しかし、ホプキンスは初回にダウンを奪ったものの2対1の僅差判定負けに終わっている。

 カルザゲ戦後、再びコンビを組んだホプキンスとリチャードソンは次戦のケリー・パブリック(米)戦には快勝している。やはり指導者と選手にも相性があるのだろう。
 このころリチャードソンは同じゴールデンボーイ・プロモーションズ傘下だったモズリーからも指導を乞われ、ミットを持つようになった。その初戦でモズリーはマルガリートを打ちまくり、世界ウェルター級王座を奪ってみせた。
 リチャードソンの特徴は、選手の特性を見抜いたうえで適切なゲームプランを練り、策を授ける点だ。その点で、メカニックのように選手を改善し技術力を伸ばすローチ式とは一線を画しているといえる。
「選手が作戦どおりに戦い勝利を収めたのならば、その選手はテレビなどメディアでも脚光を浴びるべきだと思う。しかし、トレーナーは違う。賞やインタビュー、知名度なんて不要なんだ。トレーナーは選手が試合に勝つために作戦を考え、それに沿って練習させ、策を授けるのが仕事だからだ。エゴとお金を一緒にすることはできないから、トレーナーは一歩下がらなければならないんだ」
 裏方に徹しているのは、こうした考えからなのだろう。
 奇しくもリチャードソン門下のひとり、IBF世界クルーザー級王者のスティーブ・カニンガム(米)は、師をこう評している。
「彼の考えはすべてポジティブなんだ。練習では私たちの良いところ、悪いところを分析して修正してくれる。それでいて試合での戦略は堅い。100パーセントの信頼をおけるトレーナーなんだ」
 リチャードソンはアテネ五輪ライトウェルター級米国代表のロック・アレン(29歳)、双子のタイガー・アレンの父親であり彼らのトレーナーという顔も持っている。ロックは15戦全勝(7KO)、タイガーも3戦全勝(2KO)と快進撃を続けている。また、愛弟子のひとりである甥のカール・ダーガンは05年のアマチュア世界選手権出場の実績を持っており、プロでは8戦全勝(4KO)をマークしている。
 ナジーム・リチャードソンのストーリーは、まだスタート地点に立ったばかりなのかもしれない。

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