アルバレスvsカーン

　WBC世界ミドル級タイトルマッチ、王者サウル・カネロ・アルバレス(25=メキシコ)対元世界スーパーライト級王者で現WBCウェルター級1位のアミール・カーン(29=英)の12回戦は7日(日本時間8日)、米国ネバダ州ラスベガスに新設されたT-モバイル・アリーナで行われた。155ポンド(約70.3キロ)の契約体重で行われた一戦、アルバレスがパワーで押し切ったのか、それともカーンがスピードを生かして番狂わせを起こしたのか。
※アルバレス対カーンは9日(月)夜9時からWOWOWライブ「エキサイトマッチ」で放送。

○サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)
　6回2分37秒KO
×アミール・カーン(英)

　開始20秒、カーンが右をヒットして先制したが、アルバレスは焦ることなく圧力をかける。2回、アルバレスがプレスを強めるとカーンの動きも忙しくなった。足をつかいながら左ジャブを突くカーン、前に出るものの攻めきれないアルバレスという展開になる。リズムに乗った感のあるカーンは3回も足を止めず、王者の圧力をかわす。挑戦者のスピードに戸惑いをみせるアルバレスは前進するものの打ち終わりを迎撃されるため迂闊に出られない。5回、ボディブローで相手の動きを止めようとするアルバレスだが、まだ十分な効果を得るには至らない。6回、アルバレスの左がカーンの顔面を捕え、これを機に王者の左ストレートが2度、3度と挑戦者の顔面を浅くキャッチするようになった。そんな矢先、アルバレスは体を沈め気味にして肩越しの右をアゴにジャストミート。その瞬間、カーンの体は弛緩して背中からキャンバスに投げ出された。誰が見ても10秒以内に立ち上がれないのは明らかで、レフェリーも途中でカウントを止めた。鮮やかなワンパンチKOだった。
　観戦していたゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン/米)がリングに上がるなか、マイクを向けられたアルバレスは、「カーンにスピードがあることは分かっていたので、こういう展開は想定内だった。パワーだけでなくスキルも見せられたと思う。私がゴロフキンを招待したんだ。彼と戦うかって?　いますぐにでも戦いたいよ」と、試合分析をしたうえでライバルとの対決に意欲をみせた。49戦47勝(33KO)1敗1分。ウェルター級に戻ると話したカーンは35戦31勝(19KO)4敗。
　セミには前IBF世界ミドル級王者デビッド・レミュー(カナダ)が登場、元世界ランカーのグレン・タピア(米)に4回56秒TKO勝ちを収めた。レミューは初回から積極的に接近を図り、上下に強打を散らし好調を思わせた。2回、ボディを攻めたレミューは完全にペースを掌握。4回、レミューは左フックから右を軽くフォローしてダウンを奪った。鼻血を流しながら立ち上がったタピアは続行の意思を示したが、セコンドがエプロンに上がって棄権を申し出た。昨年10月にゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン米)に8回TKOの完敗を喫したレミューは、7ヵ月で再起。戦績を38戦35勝(32KO)3敗に伸ばした。タピアは26戦23勝(15KO)3敗。
　セミファイナルの前で行われたマウリシオ・エレラ(米)対フランキー・ゴメス(米)のウェルター級10回戦は、24歳の新鋭ゴメスが完封勝ちを収めた。エレラが圧力をかけ、ゴメスがスタンスを左右に変えながら細かく動いて手数で応戦する展開になったが、全般をとおして盛り上がりに欠ける試合だった。採点はジャッジ三者とも100対90だった。ゴメスは21戦全勝(13KO)、エレラは28戦22勝(7KO)6敗。
　同じく前座ではパトリック・テイシェイラ(ブラジル)対カーチス・スティーブンス(米)のミドル級10回戦が行われ、スティーブンスが2回1分4秒TKO勝ちを収めた。スティーブンスはサウスポーのテイシェイラに左ジャブを当てて膝を揺さぶるなど初回から優位に立ち、2回に右フックでダウンを奪った。テイシェイラは立ち上がったが、レフェリーが続行を許さなかった。WBC米大陸王座を獲得するとともに世界ランク復帰が濃厚となったスティーブンスは33戦28勝(21KO)5敗。テイシェイラは27戦26勝(22KO)1敗。
　また、オスカー・デラ・ホーヤの従兄弟でWBC世界スーパーバンタム級15位にランクされるディエゴ・デラ・ホーヤ(メキシコ)はロッコ・サントマウロ(米)に7回TKO勝ち、デビューからの連勝を15(9KO)に伸ばした。サントマウロは14戦13勝(1KO)1敗。