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4日、東京・後楽園ホールでは東洋太平洋ミドル級王者の淵上誠(八王子中屋)に、日本スーパーウェルター級王者の柴田明雄(ワタナベ)が挑むという注目の一戦が行われた。一年前に世界挑戦で敗退、再スタートを切った淵上が世界戦線に踏みとどまったのか、それとも柴田が2階級制覇を成し遂げたのか。
勝敗は負傷判定に
牽制し合うかたちで過ぎた2Rから一転、3Rから打撃戦に突入した試合はラウンドを重ねるごとに乱打戦の様相を呈した。そんななか全般を通して試合を支配したのは柴田の右だった。要所でサウスポーの淵上の出足を止め、7Rには値千金のダウンも奪った。この2ポイントがダメ押し点となり、柴田は9R負傷判定をものにした。
柴田が2冠を達成!
乱戦を制した柴田は、控室で試合を振り返った。「思ったより距離が遠かったが、僕の方がスピードで上回っていると思った。淵上選手は動きが独特でパンチの逃がし方が巧かったし、タフでパワーもあった」とコメント。7回、ダウンを奪った右フックは狙っていたかとの質問に、柴田は「あのパンチはピンチの時に出そうと思っていたが…。たまたま当たって淵上選手が倒れたので、本当に驚きました」と笑顔を見せた。
ダウンは驚いた
右目上のカットで戦い難さはなかったかと尋ねられ柴田は「初めてカットして、これが目に血が入るってことなんだと思いました。正直いってビックリしました」と目の上の絆創膏に手を当てた。最後に今後を問われ「スーパーウェルター級はハッキリいって減量がきつい(笑)。できるならミドル級が良いんですが。どちらの階級でいくかは会長と相談してから決めます」と方向性については検討中と語った。
4Rの採点で狂いはじめた
一方、敗れた淵上は控室に戻ったあと、しばらくは言葉少なく終始うつむいたままだった。「4Rまでは様子をみようと思っていたが、柴田選手の負傷でいつ止められるか分からなくなり、そこからは無理にでも出るしかなくなった」と、精神的にも作戦面でも追い込まれていたことを明かした。それでも攻勢を印象づける場面もあった。「ボディで相手のスタミナを削って自分のペースに持ち込みたかったが、前半のポイントで狂ってしまった。柴田選手は予想していたとおりだった。こちらのジャブが遠く、懐が深かった。敗因は周りが見えていなかったこと。試合中に迷いが生まれた」と悔しがった。
淵上の出す答えは
ダウンについては「そんなに効いていなかったと思うが、あっという感じだった」と振り返った。今後について話が及ぶと、「今は考えられない。王座に返り咲いた時から負けたら終わりの覚悟で戦ってきたので。(続けるということは)ジムにも周囲にも迷惑をかけるだけなのかもしれない」と言葉を絞り出すように話した。さらに、頬を伝い落ちる涙を拭うことなく言葉を選んで繋いだ。「チャンピオンとして結果が出せなかったので、責任を負わないといけない。(まだできそうかの問いに)そう思っていいのか分からない。自分ひとりでやっているわけじゃないので今はあまり考えられない」と進退に関しては態度を保留した。
このふたりをはじめ日本の中重量級は実績のある選手が多く、今後も戦国時代が続きそうな気配だ。
このふたりをはじめ日本の中重量級は実績のある選手が多く、今後も戦国時代が続きそうな気配だ。