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2月18日にWBO(世界ボクシング機構)、3月21日にIBF(国際ボクシング連盟)への加盟が日本ボクシングコミッション(JBC)から正式に発表され、これで日本ボクシング界は主要4団体すべてに加わることとなった。4月1日から新しい時代に突入することになるが、課題は少なくない。<原 功>
IBF世界王座
4団体認定に際して最も危惧されるのは世界王座の価値低下であろう。すでに諸外国の多くで4団体が認められていたことを考えると<なにをいまさら>と言われそうだが、日本ボクシングコミッション(JBC)と日本プロボクシング協会(JPBA)は長いことWBA(世界ボクシング協会)y、WBC(世界ボクシング評議会)の老舗2団体のみを承認してきた歴史がある。それでも17階級があるため、近年は年間20試合以上の世界戦に選手を送り込んできたものだ。女子ボクシングも含めるならば、ここ数年は日本人あるいは日本のジム所属選手が出場する世界戦数は毎年30を優に超えている。反面、単独の世界戦興行が減り、複数の世界戦を同時開催する傾向が顕著になっている。一般紙、スポーツ紙での紙面スペースは以前よりも明らかに小さくなっている。テレビのスポーツニュースも同様だ。海外の世界挑戦失敗に至ってはベタ記事で終わりということもあるほどだ。こうした現象ひとつを取り上げても世界王座の価値が目減りしていることがうかがえる。2団体が4団体になるからといって単純に2倍の開催になるとは思えないが、それにしてもよほどカードを厳選しないことには世界戦の廉売感を払拭することは難しいだろう。
林コミッショナーとIBF首脳陣
その世界戦厳選に関してだが、JPBAは「世界、東洋太平洋、日本王座を獲得した実績を持つ者にのみ国内での世界王座挑戦を許可する」とする内規を用意しているが、現状ではその実効性には疑問を挟まざるを得ない。日本人が出場した国内外での世界戦は11年にIBF、WBOを含め28試合、12年にはIBF、WBOを含め25試合が行われたが、この内規に抵触する選手はひとりもいないからである。ただし、今後は井上尚弥(大橋)やプロ転向を表明しているロンドン五輪金の村田諒太らが内規をクリアする必要が出てくるので、その点には期待が持てそうだ。逆に海外での世界挑戦はというとIBF、WBOを含めると92年以降の21年間に40を超す連敗を喫しているのである。この際、内規を採用するのであれば国内外を問わず適用すべきではないかと思うのだが、いかがだろうか。
4団体の世界戦が日本国内で行われることになると、各団体のルール不統一が浮き彫りになるはずだ。たとえば試合中に選手がバッティングで顔面をカットした場合、WBCは負傷していない選手から減点するシステムを採用している。他の3団体はそのルールを適用していないのである。途中採点公開制にしてもWBCのみが採用しており、他の3団体は取り入れてはいない。また、新たに認定されるIBFに関しては前日計量だけでなく試合当日にも公式計量を義務づけており、リバウンドを10ポンド(約4.5キロ)以内に抑えなければならないのである。これでは一部のマニアはともかく、一般ファン、あるいはたまたま縁があって会場に来た人、または偶然テレビでボクシングを見た人にとっては分かり難さだけを印象づけることになりかねない。混乱を避けるためにも、米国が統一ルール(ABCルール)を採用しているように日本もJBC主導でルールの統一化を図る必要があるだろう。
4団体の世界戦が日本国内で行われることになると、各団体のルール不統一が浮き彫りになるはずだ。たとえば試合中に選手がバッティングで顔面をカットした場合、WBCは負傷していない選手から減点するシステムを採用している。他の3団体はそのルールを適用していないのである。途中採点公開制にしてもWBCのみが採用しており、他の3団体は取り入れてはいない。また、新たに認定されるIBFに関しては前日計量だけでなく試合当日にも公式計量を義務づけており、リバウンドを10ポンド(約4.5キロ)以内に抑えなければならないのである。これでは一部のマニアはともかく、一般ファン、あるいはたまたま縁があって会場に来た人、または偶然テレビでボクシングを見た人にとっては分かり難さだけを印象づけることになりかねない。混乱を避けるためにも、米国が統一ルール(ABCルール)を採用しているように日本もJBC主導でルールの統一化を図る必要があるだろう。
IBF会長からミニベルトが授与
4団体時代に入るからには、上質の世界戦を積極的に組んでいってほしいものだ。「IBFやWBOにも強いチャンピオンがいるのに挑戦できないのはおかしい」として門戸開放を主張してきた手前、ジム関係者にはぜひとも強い世界王者に標的を定めていただきたい。残念なことに評価の高い王者はテレビ局の縛りもあり対戦は難しいという現実があるが、その壁にも挑んでほしいものだ。できることならば、4団体のなかでもっとも与し易しと思われる王者への挑戦は自制してほしい。多くのファンや関係者が望む世界王者同士の対戦に関しては、実際問題としてWBCが統一戦を歓迎していないこともあり、実現させるためには多くの困難をともなうはずだ。それでも井岡一翔(井岡)と八重樫東(大橋)のような大局的見地に立ったカードを組めるかどうか。いずれにしても4団体時代の成否は、関係者の気概と勇気に委ねられることになるだろう。
4月1日、日本のボクシング界は新しい時代に突入する。
4月1日、日本のボクシング界は新しい時代に突入する。