しずちゃんリラックス

　爆弾を抱えていた右ヒザの手術を終えた山崎には、再びリングへ上がる決意が揺るぎなかった。試合前には「食らったときに、地に足に踏ん張れていないのはいいことじゃないので、そういったこをは直したい」などと語り、そうした改善点を念頭に置いた練習に努めていた。
　ひざの手術後、練習を再開したのは10月半ば。タッグを組んできた梅津正彦トレーナーは大会直後にも悪性腫瘍の入院を控えており、山崎は「ボクシングをやっているところを見せたかった」と、そのモチベーションを語った。

　梅津トレーナーから「もっとどっしり構えて。それと左の伸びが浅いかもな」と指摘されると、その辺りに重点を置いた最終微調整へ。縄跳びなどをこなし、最後のストレッチ中に大量の汗を流して切りあげた。
　明日の対戦相手は石井智紋。昨年の全日本選手権では、山崎と対戦する前に敗れたが、大学時代には円盤投げで好成績を収めたことのある優等生アスリートに油断はない。
「石井選手とスパーリングをしたのはだいぶ前だし、彼女もだいぶ成長しているので。それに、試合はやっぱり緊張するので」
　ロンドン五輪出場を逃し、予選会場で号泣した職業・お笑いタレントの女子選手が、純粋なるボクシングへの情熱を再び燃やし始めた。