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井上尚弥(29=大橋)が目指している主要4団体(WBA/WBC/IBF/WBO)世界王座統一が、A面のチャレンジだとすれば、B面のチャレンジは、タイで行われる世界戦で日本人選手が勝つことだろう。
タイで世界戦を戦った最初の日本人ボクサーは、ファイティング原田氏。1963年1月12日のフライ級世界戦だ。チャンピオンとしてリングに上がった原田氏だったが、ポーン・キングピッチ氏に敗れ、日本で勝ち取った世界チャンピオンのベルトを奪い返されてしまった。
それ以来、タイで開催された世界戦の日本人選手の戦績は、 26戦25敗1分。これまでにタイで行われた世界戦で、勝ったことのある日本人は一人もいない。日本人の初黒星から約60年間、絶対王者と呼ばれた佐藤洋太氏をはじめ、圧勝すると思われた赤穂亮(横浜光)やワンチャン有りと期待された向井寛史氏らが、勝利を目指してタイのリングに上がったが、幸運の女神は微笑んでくれなかった。
2013年8月1日に江藤光喜氏がWBA暫定世界戦で、コンパヤック・ポープラムック(タイ)に判定勝利を挙げているが、日本ボクシングコミッション(JBC)は、この試合を世界戦と認定していないため、不名誉な連続未勝利記録は、未だに断ち切れていない。江藤氏の勝利からでさえ、9年が経過していることも忘れてはならない。
そんな中、タイで2度目の世界挑戦を迎える田中教仁(三迫)に期待が寄せられている。微笑みの国として、人気の高いタイ王国だが、ボクシングの世界では、「タイ」のプロモーターは、”微笑まない”ことで知られている。
世界戦は話が来た時点で、ゴングは鳴っている!
世界戦の話が来ると同時に、合意に至るまで、いや、試合が始まる直前まで、いわゆる「揺さぶり」が続く。挑戦者陣営に対して、精神的ダメージをコツコツと負わせることで、不安を煽って、準備不足とチームの不協和音をもたらせる。今回、タイの世界チャンピオン陣営から挑戦者の田中が所属する三迫ジムに世界挑戦に関する連絡があったのは、数ヶ月前だが、候補者には、他の日本人選手の名前も上がっていた。
昨日、田中陣営はタイへと飛び立ったが、これからも「揺さぶり」は続くだろう。
世界挑戦のために、タイのプロモーターが用意した送迎車は果たしてちゃんと来るのか、ホテルの部屋にはエアコンは付いているのか、試合前に氷は用意できるのか、前日計量開始時間は変更にならないか、試合開始時間は変更にならないか、などなど、チームは常に想定問答と対策を繰り返さなければならない。
しかし、8月31日にタイで世界戦を迎える田中は、今回が初めてではない。しかも、百戦錬磨の古豪三迫ジムのサポートがついている。田中には、是非ともB面クリアを果たしてもらいたい。