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[非公開練習]2019.3.31

井上尚弥と堤駿斗が実戦練習で超神経戦

 WBA(世界ボクシング協会)バンタム級王者の井上尚弥(25=大橋)が30日、横浜市内の所属ジムで非公開スパーリングを敢行。習志野高校時代に日本史上初の世界ユース選手権優勝を果たした堤駿斗(19=東洋大1年)とハイレベルな技術戦を展開した。今や世界中が注目する"モンスター"と2020年東京五輪でボクシングが採用された場合、メダル最有力候補に挙げられているトップアマとの4ラウンドの攻防に、ジム内には張り詰めた空気が流れた。
一進一退の攻防
 中間距離でキレ味鋭いジャブの交換からスタート。井上が上下に打ち分け先制攻撃を仕掛けると、堤も右ストレートを返し対抗。井上の右をかわすと左フックを振るうが井上も鉄壁のディフェンスで回避した。
井上が攻勢をかけた
 2回になると井上が鋭い踏み込みから槍のような左を突き右フックを好打。しかし、堤も負けじと連打を繰り出し譲らず。3回、井上はボディでパンチを集めると強烈なワンツーから左フックをヒット。続く4回、井上は右ストレートでガクッと腰を沈めさせると左ボディ、右アッパーを織り交ぜた多彩なコンビネーションを披露。ラスト20秒は両者とも一歩も引かず激しく打ち合った。
駆け引きが楽しかった
 練習を終えた井上は、「緊張感も含め反応が良くて楽ができない。1ラウンド全部の時間を集中しなければならない。他の選手とやるより疲れます。一番良い練習パートナーです」と堤を褒めたたえると、「ポイントで競った時のことを意識しながら戦った。1発もらったら1発返すことを心掛けた。右のカウンターの返しは参考になり対策になる。ロドリゲスをイメージしやすい」と今回のスパーリングのテーマを明かし、収穫を口にした。
スパー後に堤がアドバイスを求めた
 さらに井上は、「このレベルまできたらどっちに集中力があるか。お互いに先を探し、一瞬の閃きが大事になってくる。ミスした方が終わり」と豪華スパーの内容を説明した。
5月18日(日本時間19日)に英国グラスゴーでWBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)バンタム級準決勝をIBF(国際ボクシング連盟)同級王者のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)と争う井上だが、最高のパートナ―を得て万全の調整を続けていた。
左:弟の麗斗も見学に来た
 一方、井上との実戦練習は2月上旬、3月中旬に続き3回目だという堤は、「尚弥さんは以前よりプレッシャーが強くて、反応しようとしたら力み過ぎて4回に失速してしまった。足が止まったのを見透かされて畳みかけられた。2、3発効いてしまった。今日が一番やられた」とモンスターの仕上がり具合に舌を巻くと、「憧れの選手とやるために仕上げていかなければいけないので、スパーリング前はプレッシャーを感じながら練習することができてモチベ―ションが上がった。試合以上に緊張した」と有意義な練習に感謝していた。

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