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2度目の東洋太平洋王座挑戦で、悲願のベルト獲得を目指す第2代日本ヘビー級王者でOPBF同級1位の藤本京太郎(30=角海老宝石)が14日、後楽園ホールで開催された「第557回ダイナミックグローブ」のメインイベントに出場し、同級2位のウィリー・ナッシオ(30=豪)と王座決定戦で拳を交えた。ゴングが鳴ると、前に出てくるナッシオに対して藤本は、リングを回って様子を見た。
判定勝ちで王座奪取
前進し大きくパンチを振るナッシオに対して、チャンスを伺っていた藤本は2ラウンド、右ショートカウンターを合わせて先制のダウンを奪った。直ぐに立ち上がったナッシオは圧力を強めたが、藤本はサークリングしながら単発の右をヒットさせた。4ラウンド終了時の公開採点は38-37×2,39-36×1で藤本がリード。中盤は手数の減ったナッシオに藤本が上下のコンビネーションを絡めて8ラウンド終了時には、ポイント差をさらに広げた。KOに期待がかかったが、藤本は危険を冒さず、遠い距離から的確にパンチを当てて試合終了のゴングを聞いた。最大9ポイント差をつけた藤本が2度目の挑戦で、悲願の東洋太平洋王座を獲得した。
しんどい試合だった
4年ぶりの挑戦で、ようやくベルトを巻いた藤本は、同門で大晦日にIBF世界王座に就いた小國以載から借りた天狗の鼻をつけて会見に臨んだ。「この試合に勝てるなら体がどうなってもいいと思った。相手は体重があり、最後までパンチ力もあったのでしんどかった」と興奮気味に試合を振り返った。「小國が世界チャンピオンになり負けられないと思った。アジア人としてヘビー級に風穴を開けることができた」とうれしさを隠し切れない様子だった。
萩森健一マネージャー
藤本をマネージメントする萩森健一マネージャーは「今後は防衛戦を最優先させるが、もうひとつベルトを獲れば3冠になるので、WBOアジアパシフィック王座も考えている。階級の壁も感じたので体重が落ちるならクルーザー級に転向させるかもしれない」と世界戦線を視野に入れて転級することも示唆した。
ウィリー・ナッシオ(豪)
判定で敗れたナッシオは「京太郎はパワーはなかったが、パンチが正確で最後まで捕らえがたかった。今日は彼の夜」と完敗を認めた。京太郎は世界に行けるかの質問には「Bクラスの選手には勝てるだろうが、その上はこの階級では難しいと思う」と分析した。
清田祐三(F赤羽→引退)
この試合を観戦した元OPBFスーパーミドル級王者の清田祐三(フラッシュ赤羽→引退)は「同じ日本人として、ヘビー級でも通用することを証明するためにもKOが観たかった。ダウンを取っているのだから、このぐらいの相手なら倒してほしかった。出入りのスピードを速くして、全盛期のマイク・タイソンのようなボクシングをしてほしい」と、かつて何度もスパーリングを通じてしのぎを削った拳友にエールを贈った。