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王者・村中優(29=フラッシュ赤羽)が前日計量で体重超過し、前代未聞の王座剥奪となった日本フライ級タイトルマッチは、指名挑戦者の同級1位・林徹磨(27=セレス)が勝った場合のみタイトルが移動し、その他の勝敗は空位となる。8日、試合前に行われた計量は、両陣営で取り決めた53.0kgのリミットを村中がクリアし、辛うじて王座戦の体裁は保てた。
反省
2年ぶり2度目の日本王座挑戦に水を差された形となった林だが、序盤から速いジャブを散らしながらテンポよく仕掛け、村中を手数で上回った。村中も左フックを軸に応戦し、4回には左ボディで林の体を曲げたが、5回が終わっての途中採点は、46-49,47-48,48-47の2-1で林にリードを許した。6回も林のスピードに手を焼いた村中だが、7回に入ると手数と圧力を増し、林にロープを背負わせては右ストレートから左ボディを叩き込み、追い上げを図る。林も体を入れ換えては負けじとパンチを返したが、村中のコンビネーションに圧され、7回以降はポイントを奪うことが出来なかった。
試合は判定にもつれ込み、村中が96-94,96-94,97-93の3-0で逆転勝利。日本王座を失ったが、WBC4位をはじめとする世界ランクは死守。これが正規のタイトル戦ならと誰もが感じた好ゲームだった。
試合は判定にもつれ込み、村中が96-94,96-94,97-93の3-0で逆転勝利。日本王座を失ったが、WBC4位をはじめとする世界ランクは死守。これが正規のタイトル戦ならと誰もが感じた好ゲームだった。
採点表
前半のリードを守りきれなかった林は、「追い上げられ気持ちが弱くなってしまった」と控え室に戻り唇を噛んだ。それでも「理想に近いボクシングは出来た。強い村中選手と戦えて良かった」と気丈に語り、空位の王座戦出場については「今は考えられない」としつつも「ゆっくり休んで一から出直します」と前を向いた。
ノ-サイド
一方、計量失格の大失態を起こすも、首の皮一枚で世界への道を繋ぎ止めた村中。会見では川島勝会長とともに「申し訳ありません」と謝罪し、減量方についても考え直すと反省した。また、すべて自分が悪いと前置きした上で、1kg増までと制限された試合4時間前の計量は、脱水症状に近い状態だったと明かした。クリア後、水3リットルとゼリー、そして握り飯ひとつを口にし、試合に臨んだと言う村中は、「罪悪感しかなかったので何も考えず、ただ冷静に体力温存で(試合を運べた)」ことを勝因に挙げた。
川島会長と
剥奪された王座については「僕は決められた試合をするだけだが、もう日本に興味はない。(ノンタイトルでも)話題性のある試合がしたい」と希望し、世界について自ら言及することはなかった。川島会長も「今のままでは厳しい」としたが、「どこかで仕切り直し世界を見ていきたい」と本音を覗かせた。
内藤vs荒川のようにドリームマッチを熱望
現在、試合直前まで練習を追い込め、かつ疲れが抜けやすい理由で、計量直前の「水抜き」による減量法がボクサーの間で取り入られている。これまでは上手くいっていたと話した村中も、計量当日に3kgを落とすはずが1kgしか落ちずに失格した。確かにメリットはあるのだろうが、一歩間違えれば脱水症状を引き起こし、選手を危険に陥れることは言うまでもない。過酷な減量を決して選手ひとりに任せていた訳ではないはずだが、十分な管理をジムが怠っていたと指摘されても言い逃れは出来ない。先日も別の興行で計量失格の選手が出たばかりなだけに、これを機に減量法、そしてウェイト管理について、改めて議論する時期にきているのではないだろうか。