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初回残り5秒に長身のサウスポー、新藤寛之(28=宮田)に左ストレートを突かれ、いきなりのダウンで始まった日本ウェルター級王者、高山樹延(29=角海老宝石)のV5戦。7日の後楽園ホールは、波瀾の前座に続く思いもよらぬ展開に大きなどよめきが起こった。
ダメージはなかったと高山
「あのダウンは正直焦ったが、パンチは効いていなかった」と試合後に話した高山は、以降はガードを固めひたすら新藤の距離を潰した。新藤もサイドに動いては左を軸に王者を迎え撃ったが、しだいに高山の左ボディブローでスピードは鈍り、4回にはペースを明け渡した。5回の途中採点は47-47、48-46、48-46で挑戦者がリードしたが、すでに試合の流れは王者に傾き、終盤も気持ちとキャリアの差を発揮し逆転勝利。5度目の防衛に成功した。
右一本じゃ仕方がない…
デビュー9年目でのタイトル初挑戦に失敗した新藤だが、控え室では意外にも「仕方がない」といった様子でサバサバしていた。「右のリードで試合を作り左ストレートを当てて行く作戦で、1ラウンドに奪ったダウンは自然に出たパンチだったが、5ラウンドに左拳を痛めてストレートが出しにくくなった。右一本でなんとかしようと思ったが、それができなかったのは自分の力不足。途中採点で勝ってはいたが、後半は正直厳しい展開になると思っていた」。王者については、「前に出てくるのは分かっていたが、できた部分とできなかった部分がある」と無念そうに答えた。
古傷が大きく開いてしまった
一方、5回での偶然のバッティングで右目上を約4cmほどカットした高山は、控え室で鏡を見て「げー、こんなに切れていたの?」と驚きの声を上げた。「まともに倒されたのは初めてだったが、セコンドから『ダウンは意識するな』と指示を受け、相手が嫌がるボディを軸に出し惜しみすることなく攻め切れた」と勝因を上げた。逆転勝利に笑顔はこぼれたが、「スパーリングでサウスポーの苦手意識は払拭したつもりだったが、攻撃が単調になってしまった」と反省し、今後については「東洋太平洋と言いたいが、ヒヤヒヤさせた試合じゃ何も言えない。もっと練習します」と苦笑いを浮かべた。
この日、V2に成功した同門の岡田と
この日、日本同級2位の大川泰弘(31=ワタナベ)が高山への挑戦を希望した。「モチベーションが上がりました。これから高山選手への挑戦に向け、よりレベルアップしていきたい。勝つ自信?もちろんあります!自分みたいな戦績(27戦13勝4KO11敗3分)のチャンピオンがいても面白いでしょう」と語り、虎視眈々といった様子で会場を後にした。
大川 泰弘