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元東洋太平洋スーパーフェザー級王者で現IBF、WBC世界ランカーの仲村正男(26=渥美)と元WBC世界ユースライト級王者で日本スーパーフェザー級7位の伊藤雅雪(23=伴流)の注目対決が30日、満員の後楽園ホールで行われた。
リングサイドには、勝利を前提に伊藤から逆指名されている日本王者の内藤律樹(22=E&Jカシアス)の姿もあった。
リングサイドには、勝利を前提に伊藤から逆指名されている日本王者の内藤律樹(22=E&Jカシアス)の姿もあった。
仲村の大応援団
両者の応援合戦でスタートした試合は、伸びのあるジャブで先手を取る仲村に対し、カウンターパンチャーの伊藤は間合いを測りつつ仲村のパンチを見極めるが、スロースタートの悪い癖が出てしまい、1ラウンド終了間際に仲村の右でダウン寸前のピンチを招いてしまう。しかし、以降は決定打を許さず、徐々に間合いを掴むと右のカウンターで対応。仲村も左ガードとスウェーバックで致命打を与えず、序盤から緊迫感のある展開が続いた。前半はアグレッシブに攻めた仲村が試合を優勢に進めたが、中間距離をキープしたい伊藤も時に打ち合いに応じるなど押し切られず。初回以降、決定機に持ち込めない仲村は、7ラウンドに出入りの速度を上げ、多少大振りながらも強引にペースを掴みに出る。しかし、これが逆に伊藤のチャンスとなり、打ち終わりにカウンターが連続でヒット。仲村も決して崩れることなく、ラストは会場を大興奮させる打ち合いに発展。勝敗は判定に委ねられ、ジャッジ2者が1ポイント差、1者が3ポイント差で伊藤を支持。有効打の差が出た形となった。
挑戦は受けると内藤
試合後、リングに日本王者の内藤が上がり、まずは勝った伊藤を祝福。「やってもいいですよ」と伊藤の挑戦を受け入れた。しかしリングを降りた後は「仲村さんのほうが優勢に見えた。ボクシングの引き出しの多さも感じました。今の伊藤選手なら余裕で勝てます。わざわざ世界ランクをくれるようなもの」と辛口のコメントを残した。
仲村と大東会長代行
2敗目を喫した仲村は、「自分の戦い方、試合内容には納得してない。不完全燃焼です」と第一声。試合を振り返り、左目上を負傷した後も「捕まえて倒そうと思ったが、うまく足を使ってかわしてきたところを詰めきれなかった」と悔しがった。また、伊藤に関しては「びっくりするほどの攻撃力は感じなかったが、隙を突かれた」と印象を語り、「今までは試合で勝つことで前に進んできたので、負けて前に進むというプラス思考はない」と、一敗の大きさを口にした。最後は「8回は(時間が進むのが)早すぎた」と言い残して会見を終えた。
本当は倒して挑みたかったと伊藤
一方、後半の追い上げで薄氷の勝利を掴んだ伊藤は笑顔で会見に応じた。結果については「パンチも見えていたし効かされもしなかったが、気負ってしまった。押されているように映ってしまい見栄えも悪かった。勢いでは完全に負けていました」と反省。自己採点を50点としたが、それでも要所でのカウンターを評価し、「すごく勉強になりました。これで世界ランクの手土産を持って挑める。内藤選手とやれば試合中でも強くなれそうな気がします。フィジカルも強くなってきている今なら日本を取って当たり前」と、伊藤も負けずに内藤を挑発。10戦無敗の王者と、引き分けをひとつ挟み16戦無敗の伊藤との前哨戦がすでに始まっていた。